アニメーション作品を作ったり、建築パースを作ったり、絵を描いたりしてます。
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今回は、前回の記事の補足です。
前回の記事について質問が来ました。 「パラペットが無い方が水が溜まらないから雨漏りしないのではないか?」 つまり、ビルも一般住宅のように三角の屋根にしてしまえばいいのでは?ということですね。 ![]() これは可能だと思います。防水的にも問題なさそうです。 そうまさにおっしゃる通りなのです。 でも、そういうビルあまり見かけませんね。 なぜビルの屋根は住宅のように三角の屋根ではないのでしょうか。 理由はいろいろありますが、いろいろを全部書くと大変なことになるので、 乱暴な話で申し訳ありませんが、ひとつの理由のみで説明してみようと思います。 最近の建物には、たいていエアコンというものが付いてます。 そして、エアコンには室外機があります。 住宅の場合、室外機をベランダに置いたり、庭に置いたりします。 マンションでもベランダに置いたりしますね。 ビルの場合もエアコンの室外機が必要です。 でも、ビルは住宅と比べて、空間がとても大きいので、 それに伴って室外機の大きさも住宅よりかなり大きいです。 その室外機をどこに置くかというと屋上に置くのです。 置いてみるとこんな感じです。 ![]() 三角の屋根に室外機を置くとせっかくデザインした屋根が台無しですね。 道路を歩いている歩行者からも見えてしまうかもしれません。 四角い屋根のビルの方は、パラペットのおかげもあって、 室外機が歩行者から見えにくいですね。 しかも、実際には室外機を目隠しパネル等で覆ったりするので、 万が一、屋上が見えた場合もデザインが、長方形で統一されていてスッキリ見えます。 ![]() そんなわけで、三角の屋根にすると室外機の置き場所に困るから、 三角屋根のビルはあまり見かけないんですね。 他にも理由はいっぱいありますが、こういうわけです!(あえて断言します。) しかし、下の画像のように室外機が壁面にむき出しになっている方が、 絵としては、雑居ビル感が出て、魅力があったりもしますね。 ![]() また、「パラペットがあると屋上が水盆みたいになるってことですよね?」 という質問もありました。 つまり、雨が降ると下図のようになるのでは?ということだと思います。 ![]() しかし、実際にはこうはなりません。 記録的な大雨とかだったら、一時的になっちゃうこともあります…。 なぜ、水盆にならないのかと言うと、 屋上の床は平らに見えて、実は平らではないのです。 オーバーに描くとこうなってます。 ![]() 雨水は高い中心から低い端に向かって流れていきます。 そして、端に流れていった雨水は排水溝に流れ込み、雨樋を通って、地面に流れていきます。 ![]() そんなわけで勘のいい人は気づいたかもしれませんが、 パラペットの高さは、雨を貯めるために高いわけではなく、 屋上床の一番高い所に合わせて決まっているのです。 ![]() つまり、雨漏りしない屋上を作るにはパラペットの高さは、 本当はAで十分なのですが、 屋上床には雨水を流す勾配を設けているため、 結果的に端部でのパラペットの高さは、Bになります。 蛇足ですが、マンションのベランダや屋外廊下、アスファルトの道路、タイル貼りの広場等も 雨水を排水溝に流すため、水平ではなく傾いています。 マニアックすぎて、今回は「たいして」どころか、「ホントに役に立たないお絵かき講座」ですね…。 ![]() 上の絵を見て、何かおかしいとか、違和感を感じたりするでしょうか。 もし、何も感じなければ、それはそれでアリだと僕は思いますので、 この記事を読まなくてもいいと思います。 絵が適当過ぎて、違和感あり過ぎっていうツッコミはありそうですが・・・。 上の絵のような感じでビルを描く人が結構います。 プロの漫画家さんやアニメの背景等でもたまに見ます。 必ずしも間違っているというわけではありませんが、 現代の日本のビルを描く場合は、少し一般的ではありませんので、 見る人が見ると不自然に見えてしまいます。 このビルの最上階辺りの断面図を描くと下左図のようになります。 対して、一般的な日本のビルの断面は下右図のようになっています。 ![]() 鉄筋コンクリートで造られたビルの場合、普通は梁(破線で囲まれた色の濃い部分)というものがあり、 基本的には梁の有る部分に穴を開けて、窓にしたりはしません。 また、たいていの場合は屋上部にパラペットというものがあります。 詳しい説明は省きますが、パラペットとは建物内に雨漏りしないよう防水のために、 屋上部に立ち上げた壁のことです。 一般的なビルの最上階部分を拡大すると下の図のようになっています。 概念を伝えるために簡略化しているので、いろいろ嘘も入ってます…。 ![]() 防水の方法は他にもいろいろあるので、あくまで一例です。 つまり、最初のビルの何がおかしいかというと最上階の窓の位置です。 ごく普通にビルを作ると梁とパラペットが必要なため、窓を屋根ギリギリの高さには作れないのです。 そんなわけで、構造上重要な梁と防水上重要なパラペットを意識して、 窓を描くと下図のように自然なビルの絵になります。 ![]() 最初に例に出した違和感のあるビルを実際に建てようと思ったら、 実は不可能ではないと思います。 しかし、四季のある日本で、これをやろうとすると 手の込んだ特殊な事をしなければなりません。 特殊な事ということは、そういう建物が存在していても 建築関係者以外の一般的な人が目にする機会はほとんど無いと言えると思います。 なので、何かしらの表現上の意図等がある場合以外は、 最上階の窓の上にある程度の高さの壁を描いた方が無難だと思います。 また、最初に漫画やアニメの背景でも見かけることがあると書きました。 実際、現代日本を舞台にした作品でパラペットの無いフラットな屋上が登場することがたまにありますが、 個人的にはパラペットの有る無しと作品の面白さはまったく関係ないと思うので、 今回書いたことは正直どうでもいいことだと思っています。 ホントにマズイのは、こんな知識を持ってしまったがために、 絵が堅くなってしまうことだと思います。 これ、一般の人が読んで意味わかるのでしょうかね・・・。 ちなみに築30年以上古かったりするビルだとパラペットが無かったりもします・・・。 建築関係の皆様は、 「『カーテンウォール』にすれば、見掛け上は、容易にこのデザインのビルは作れるよ。」とか、 そういうツッコミはしないでくださいね…。 ![]() 「ハイライト」について人と話してると、違和感を感じる事があるのでちょっと書きたいと思います。 上の画像をアニメチックに簡略化したものが下の絵です。 ![]() ![]() たまに 「B=球の本来の色」 「C=陰の色つまり暗いところ」 「A=ハイライトつまり明るいところ」 と言う人がいます。 「B=球の本来の色」っていうのも微妙な言い方だなぁ、 色って光の反射なんだから、 本来の色っていう認識は正確じゃないんじゃないか?とか思ったりしますが、 今回はハイライトについてなので、とりあえず置いておきます。 「A=ハイライトつまり明るいところ」という認識は、 必ずしも間違っているというわけでもないかもしれませんが、 身の回りの物のハイライトをじ~っと観察しているとある事に気が付いてきます。 ハイライトとはいったい何なのかを確認するために とりあえず分かりやすいように球を磨いてみます。 ![]() 磨く前の状態です。 表面がマットな感じです。 きっと顕微鏡で見ると細かい凹凸や傷があるんでしょう。 ![]() 少し磨いてみました。 なんだか少し周囲の環境が映り込んできました。 ハイライトの形状も少し変わってきました。 ![]() 更に磨いてみました。 だいぶ、周囲が映り込みました。 ![]() かなり磨きました。 もう鏡のようにツルツルです。 周囲の部屋の様子もハッキリと分かります。 ハイライトの位置には窓が映っています。 つまりハイライトというのは、単に明るいところというよりは、 「物の表面に於いて、照明や窓のような光源が映りこんでいる箇所」 とも言えるんじゃないかと思っています。 ハイライトを描く際にどんな形状にしたらいいのかを悩んだ時は、 光源の形状を仮定して、映り込ませる対象物の形状に合わせて変形させてみれば、 それらしいものが描けるかもしれません。 ただ、ぼくは美大とかで正規の美術教育を受けているわけでもなく、 今回書いた事は、ぼくの単なる経験と観察に基づいて、 勝手にぼくが思っている事なので、 間違っていても責任は取れません。 ただ、間違っていたら、こっそりコメント欄などで教えてください…。 そもそもマットな状態の明部をハイライトと言うのかどうかもわかりません。 |